2010年6月12日土曜日

いい本の探し方

ネットが普及した時代のおかげで、今は逆にまた本などの文字を読むという習慣が戻ってきたような感じもある。特に若者世代はテレビも見ないでケータイ中心主義の社会に生きている感じがする。その発端は電子メールの爆発的普及からだと思うのだけど、普通の会話に比べて、メールの利点、言い換えれば文字に起こす利点がある。それは:

① メールの内容=メモである、ということ。
 例えば普通に会話していても、電話番号や住所など、後で参照したい情報はメモに落とし込むことになるわけだが、最初からメールで送っておけば、相手にその情報を書くという手間を減らせてあげられる。

② 一応、頭の中で咀嚼した内容を相手に伝えられること。
 普通にしゃべっていても、自分の言っている内容が「本当か?」とか思うことがある。書いた物を相手に送るのであれば、一度、すべて俯瞰して自分の書いた物を確認することができる。結果、相手に誤解が生じにくくなる。

③ コピーが簡単。
 書いたものは、特にIT技術を使うと、コピーが簡単である。関係者に一斉通知もできる。つまり、同じことを何度も言わなくても良い。これは非常に便利である。

 さて、そんなわけでネットのおかげでテレビを見る時間が減った分、文字の読み慣れが進んだような現在、本当におもしろいコンテンツは、やはり昔ながらの「本」にあるように思える。
 iPadを見ていると、広い意味で、IT機器というのは「本」の発展版なのかな?と思えることがある。元々、本は著者が著したい情報、あるいは知識そのものを紙に綴ってきたもので、究極的に言うと、文字列の集合体でしかない。しかし、これに意味や知識がまず載っていて、人間同士時を超えた情報共有が可能になってきたわけだ。これをベースとして、ここに出版という技術が登場すると、その情報が多くの人と共有できるわけであるから、結果として多くの人たちに知識を与えるということになる。「本」→「印刷技術」という意味で、今、本2.0の時代がここ数百年続いてきており、人間の社会文化の急激な発展を支えてきた。

 で、さらにコンピュータは基本的に文字をデジタルの0 1 に置き換えることで、紙を前提としない情報のコピー、つまり、「バーチャル印刷」を行ってくるようになったわけで、紙という資源を前提としない印刷ということで言えば、本3.0の時代になったような感じもする。これは紙資源も必要としてないし、情報自体がコンピュータのような機械そのものの挙動を変えたりすることができるようになった結果、検索もすごく速くできるようになった。
 この本3.0時代において、グーグルのような会社が現れたわけだけれども、その検索というものを効率化するための「ページランク」という考え方がある。これは良質なページ(情報)からは、良質なページがリンクされている、という概念で、またそのような良質なページから少しだけリンクをされているようなページの方が、ゴミ情報同士でたくさんリンクし合っているページよりもランクが高い、というような考え方で、良質なページを引きだそうというものだ。
参考
http://homepage2.nifty.com/baba_hajime/wais/pagerank.html

 実は、これ2.0時代の本にも有効なんじゃないか、と思う。まず良書であるところの入門書を手に入れ、そこから参考文献として引用されている本を読んでいく、ということであり、特に色々な良質な本から引用されている本には、重要なことが載っている、という風に解釈することができる。自分の中で咀嚼できずにあった知識も、実は色々な本から引用(リンク)されているところが多い部分であるというのであるならば、実はそこは重要な情報であるから、そこを一生懸命読むべきだと判断することもできるんじゃないかと思ったわけだ。

 いろんな本を片っぱしから乱読する、みたいな話を、勉強する人たちの間でよく聞くけれども、本の内容にも実際にはクオリティの高さというのはまちまちなので、すべてを同じペースで読み進める、というのは、実は効率は良くないのだろう。乱読する、大量の本を読んで大量の知識を身につけたいとき、重要な部分は、やはり「リンク」と「キーワード」であろうと思う。大量の情報が簡単に集まる今は、幸せな時代ではあるけれども、一方で重複する情報をどう扱うかについては考える必要があるから、まずはざっと読んで「リンク」と「キーワード」を拾っていって、元々、本当に最初にアイディアを提供してきた「タネ本」に到達するのが、やはり効率が良いのはないだろうか。で、たいていタネ本を書いた著者というのは既に大御所であることが多いけれども、大御所の大御所たる物の考え方に触れるのが、実は最も楽してすばらしいアイディアを吸収する方法なのではないかと思えるのである。

 実はこれ、人間関係にも応用できるような気がする。いい人の友人はいい人、という意味では価値ある人間関係を構築するには、このリンクをたどっていくのが一番いい。
 問題は、自分が価値ある人間かどうか、そこのところが微妙でなかなか友人が増えていかないことなのであるが・・。

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